今季復帰が消えた。日本スケート連盟は9日、フィギュアスケートの07、11年世界選手権金メダリスト褰藤美姫(24=トヨタ自動車)が今季のGPシリーズを欠場すると発表した。昨季は競技会に出場せず、復帰を目指していたが、メーンコーチ不在による調整不足を理由に決断。競技会で滑ることなく、このまま現役引退の可能性も出てきた。
今季も勝負のリンクに戻ってこない。昨季、完全休養して、競技会復帰を目指していた安藤は、2大会まで出場できるGPシリーズは中国杯(11月24日、上海)、フランス杯(同1618日)にエントリーしていたがともに欠場する。11年の世界選手権後にニコライモロゾフ氏との師弟関係を解消した元女王は、メーンコーチ不在の状況だった。日本スケート連盟は欠場理由として「指導者不在で練習せざるを得ない状況であること」に加え、「技術的、精神的に調整が間に合わなかった」と説明した。
この決断はGPシリーズ欠場という事実以上に、大きな意味を持つ。国際スケート連盟(ISU)は今季から、休養した選手がGPシリーズに復帰する場合、不測の事態がない限り試合に出場することを約束する誓約書への署名を義務化。安藤もこの誓約書に署名しており、関係者によると、ISUから出場停止などのペナルティーを科せられる可能性が高いという。
安藤は現時点で年末の全日本選手権の出場権も持っておらず、同選手権出場が絶対条件となる来年3月の世界選手権の代表入りも不可能。現状では出場できる大会がなく、今季復帰は消えた。
安藤は先月30日、今月2日とイベントに参加した際にも、スケートに関するコメントを出すことはなく、7日のGPシリーズの会見も欠席した。この日、自身の公式フェイスブック上で「アスリートとしてベストを尽くしたい」などと来季への意欲を見せ、日本連盟関係者は「ソチ五輪を見据えての前向きな決断ととらえている」と話した。だが、コーチ不在の状況が続き、ハートに火が付かなければ、このまま現役引退の可能性もある。自身3度目となる五輪に道は続いているのか、それとも。元女王がスケート人生で最大の転機を迎えようとしている。(スポニチ)